待合室の涙



 かすていらのお礼に上野さんから新刊が届いた。

 新しい新刊のタイトルは

 ずばり、「情報生産者になる」

 自分の研究をする時の

 問いの立て方からアウトプットまで

 論文の書き方についてめちゃくちゃ詳しく書いてある。

 私は皮膚科の待合室で診察を待っていた。

 難しくてなかなか読み進まない本は

 病院の待合室で読むのがいい。



 研究をするにあたってはまず計画書を作る。(ふむふむ)

 当事者研究が出てきてからは、上野ゼミでも

 当事者研究版の研究計画書を使うようになった。(ふむふむ)

 まず、 問題が問題になるのは、

 現状に満足できない誰かが、

 それを問題と言い立てるからにほかならない。(ふむふむ)

 なので問題には、必ず「宛て先」がある。

 例えば、同じ現象を問題とみなしてこなかった

 これまでの研究や問題を作り出した制度や社会、

 あるいは特定の人々やその集団。

 今までの研究計画書にはなかった項目の

 「クレイム申し立ての宛て先」というのは専門的な概念なので

 わかりやすくある会話をあげて説明してくれている。



 「つまりあんたがバカヤローと言いたい相手のことだよ!」

 過労死家族の会を立ち上げ、活動してきた女性が

 「クレイム申し立ての宛て先って…」よくわらからない

 と言ったのに対してクラスメイトが放った言葉です。

 その返答を読んでやばい、涙が出る。(ここは皮膚科の待合室)

 上野さんはこんな会話の場面を教師として

 何度も見てきてるんだ!と思うと

 もう〜泣けてきちゃうので、

 皮膚科の受付のおばちゃんにATMに行くと言って外に出た。

 

 クレイム申し立ての宛て先は自分が一番分かってる。

 このことは私も経験で知っていた。

 もしひとつだけ願いが叶うなら

 彼女がまだ大学にいたころの彼女の講義を受けてみたい。
 
 





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