更新していくチャンス



 河村:個展の前っていつもギリギリまで描いてるよね。


 塩川:そう。描き始めるより自分がここで何をやるって
    決めるのに時間かかちゃって。
    それが決まんないと描き始めてもなんか
    あ、何やってんだ?みたいになっちゃって。


 河村:それって過去の経験から今のやり方になったの?


 塩川:過去の経験というか、、どうなんだろう。
    個展は自由度が高いから
    自分を更新していくチャンスと思ってる。


 河村:そうか、なるほど、それはそうだよね。


 塩川:だから自分にとっての発見があったりとか
    この展示のときにこれができたんだ、みたいな
    小さくても次に繋がるような挑戦をしたくて。
    お仕事だとクライアントさんの要望を無視して
    私はこうしたかったんです!なんていうことはできないけど
    個展なら自己責任。


 河村:面白いもん。いづみちゃんの個展。
    見ている私も自己責任ならではの
    強いパワーを感じているのかもしれない。


 塩川:楽しい。


 河村:すごいなぁ〜。年に一回くらい開催してる?


 塩川:年に1,2回くらいやらせていただいてるかな。
    展示の機会をもらえた時に、
    自分にちゃんとやれる力があるといいなと思ってます。
    個展に来てくれる人の中に、
    MAG BY LOUISEに行って私も飾りたくなりましたと
    言ってくださる方もいて、
    お店にこういう風に絵が飾ってあると
    絵があるイメージができるんだろうなって思いました。


 河村:それは嬉しいです。お客さんたちにもお礼言いたい。
    やっぱり敷居高いよね。


 塩川:やっぱり絵を飾る!みたいなことは
    あんまり日常的じゃないみたい。


 河村:その気持ちもすっごいわかる。私も実店舗を持つ
    と決めたその記念に初めていづみちゃんの絵を買ったんだよ。
    今はお金が許すならできるだけ絵やアート作品を
    買いたいなあと思ってるほど飾ることが楽しい。


 塩川:人が何かのモノに対して、いいなって思って見たり、
    そのモノに集中する人の“気”が増えていくと、
    今度はそのもの自体の引きが強くなっていく。
    それが文字通り人気パワーというもので・・・
    というような話を最近聞いた。


 河村:へぇ。それ誰が言ってたの?


 塩川:ここ最近聞いたんです。説明が間違ってるかもだけど。
    地方とか行くと自分が今まで思ってたことじゃない観点で
    話をしてくれる人いるから面白いですよね。
    ・・・ってこの話は東京の仕事先の人が
    してくれたような気がする(笑)。


 河村:いや、でもなんか分かる気がするよね?
    だって私、心底いづみちゃんの絵を愛でているもん。
    って(時計を見ながら)そろそろ時間だよね。
    これで終わって大丈夫かな・・・。


 塩川:なんかいつも絵の話するのって話せたようで
    話せてない気がするな。


 河村:私も聞けたようで聞けてない気がしてる(笑)。
 
 
 
 
 インタビューを終えて
 
 
 静かに言葉を選びながら話すいづみちゃんの顔を見ていたら、
 出会った頃を思い出しました。
 brownier and tearoom の小梅さんが繋げてくれた縁。
 初めて会ったあの頃からいづみちゃんは
 いつもいづみちゃんで、会うたびに
 あー本物のアーティストだなとしみじみ思う。
 私は今回のように久しぶりに彼女に会う場合
 そのオーラに圧倒されていつも少し照れてしまうのですが、
 その原因が今回のインタビューでわかった気がしました。
 彼女の真ん中にある美しい光のような強さとまっすぐ
 絵を描こうという意志には
 ずっと惹かれていたし、
 その光のようなものは絵にちゃんと宿ってることも
 素人ながら感じていましたが、
 改めて話してみてアーティストとはどういう人間で
 私たちと何が違うのか、まだ言葉にはできないけど
 感覚としてはちょっと分かった気がする。
 要は照れてる場合じゃないよ!ってことです。


 MAG BY LOUISE 河村
 
 
 
 
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