中年アジア人のある日の食卓



 近所の洋食屋さんのチキンステーキが大好きで

 時々ふたりで食べにいく。

 店に行けば1000円くらいですぐ食べれるんだけど

 忙しい時にあまりに外食が続くと一緒に住んでる人を

 大事にする気持ちがなくなりがちだ。

 「今日は私が作るよ」

 とは言ったけど何から作ればあーなるんだろうか?

 買い物だけで疲れたし検索すればいいのに携帯を

 取りにいくのが面倒で、

 大きなじゃがいもを三つ茹でてみる。

 何でもそうだけどとりあえず簡単なことから手を動かすと

 勢いづいてくるもので、そのまま野菜を洗いバゲットを切って

 とかしてるうちに芋に箸が通り、牛乳とバターと塩を少々

 軽く煮詰めて粗めの美味しいマッシュポテトが完成した。

 鶏肉はたっぷりのガーリックと一緒に表と裏を焼いて

 魚焼きグリルの中に入れた。

 フライパンは洗わず、しめじ、菜の花、いんげん、ズッキーニを

 全部同時に入れてオリーブオイルをかけちゃえ。

 いんげんとズッキーニのせいで菜の花の葉のところだけ

 ヨレヨレの黒いものになってしまい、

 (やはりか)という感慨にふけながらお皿に取り出し、

 もっとも大事なソースにとりかかる。刻んだ生ハム

 (は漬物にも生ハムをいれるチェリーの真似です)に

 白ワイン、醤油、バター、それに焼いたしめじ。

 そこに、友人からもらったオーストラリアの

 ジャムのようなビネガー入りチャツネを入れてみた。

 ジャムを肉料理に使うのは仕事を通して出会ったおしゃれな

 料理家さんたちから盗んだ隠し技なのよ。おほほほほって

 思っている間に、水分が飛んで焦げてたので水を入れたら

 味が完全にぼやけたので、白ワインを入れて煮詰めたら

 また焦げててまた水入れて、を4回ほど繰り返した時には

 ソースがこってり、ものすごくいい匂いが湯気と共に爆発しだした。

 大量のマッシュポテトはパリで買った青白くて深い器に入れて、

 木でできた古い大きなスプーンと。

 少しだけ焦げたチキンと焼き野菜たちはイギリスで買ったけど

 タイから来たというリム皿に。カンヌとかで賞とるような外国の映画の

 庶民の食卓みたいになりますように期待しつつ、

 食べる前に約束してもらうことは忘れない。

 「この食欲そそる超いい匂いのことは嗅いだそばから忘れて欲しい、

 洋食屋さんの味も一回全部忘れてから食べて。」

 ややこしいわ!




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