怖い女



 新しい一年になってはじめてチェリーに行った。

 年末に打ち上げ兼ねて行ったのだけど、

 その時の忙しさは見ててかわいそうになるくらいだったから

 ふくちゃんとさえ、ゆっくり話なんてできなかった。

 そもそもチェリーに行ってもあんまりママとは話さない。

 夕方から朝までの長丁場を毎日やってるママに

 話しかけるなんてとてもじゃないけどできないからか

 みんなあんまり話してなくて、ふくちゃんが録画した

 歌謡曲の番組とかバラエティを一緒に見ることになる。

 だけど今日は仕事のお願いがあって仕方なく。

 一人で行ったのもあったから

 なんだかボトルの焼酎を飲む気分じゃないし

 大きな瓶ビールをあけてもらう。

 一人で大瓶はきつくて、

 正直言うとビールだけじゃ全然進まないから

 ほんとは浅漬けを注文したかったけど、

 ふくちゃんがいなかったのでやめた。

 カウンターに座るのもできなくてしばらく立ってたけど

 それも邪魔かと思ってテーブル席に座ることにした。

 ママはたくさん話をしてくれた。

 照れ屋だと言ってたのに一生懸命話してくれる。

 なんだか申し訳なくなってきたけど、

 途中早口で何言ってるかわらかなくて(笑)

 でもすごい面白いこと言ってるのは確かで、

 途中でいま、録音していい?なんて聞くと

 せっかくの話の流れを止めてしまいそうだし、

 私は録音もせずメモを取らずに聞いてて、

 若干聞いたそばから言葉が消えてくのに焦ったりして

 そしたらだいたいの話を忘れてしまってるんだけど(笑)

 今書いててもママっていったいどんな女なのか

 正直わかっていないかもしれないって気持ちになる。

 可愛いマスコット的な存在で、

 純粋で無垢で汚れのない少女みたいな扱いをしてしまうし

 時々失礼かなって思う気持ちがよぎるんだけど

 それ以外の接し方がわからないし。

 だけど冷静に考えて女一人で(ふくちゃんという最強のボウイがいるとしても)

 水商売を何十年とやってきた大人の女だから

 本当に向き合って話したら、私の甘いところや

 逃げ腰なところはすぐに見透かされてしまう。

 いや、すでに見透かされていると分かってるから

 真面目な顔でママに向き合うのはちょっとだけ怖い。

 尊敬してる人と会うのはいつも怖いかもしれない。




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