奥二重ーズ
一階のHELEN HEIJIとは似た時期に物件を押さえ、
開店も二ヶ月違いなだけだったのですぐに仲良くなった。
店長のすさみさんとは人生のある一定期間を濃密に
過ごす縁があったんだと思う。
彼女が泣いた夜はすぐわかる。奥二重の女が何かあって
泣いたときの翌朝の顔、それはそれはブサイクで(笑)
二重の人には一生分からない悩みかもしれない。
もちろん私が泣いたこともすぐばれてしまう。
泣いた理由は聞かないことが多いけど
いつもより少し優しい態度やラインの挨拶が
私たちの距離をどれだけ縮めてきたのだろう。
そんなすさみさんの目が最近二重になってきている。
「としえさん、これね、地道に続けてきた
まつ毛美容液の効果かもしれないんですよ」
これはまるで奥二重ーズからの卒業宣言だ!
あまりにどや顔なので「どこのやつなん?」と
聞いたけれど、覚えてないと最後まで教えてくれなかった。
(一人だけ二重になろうとしてるのかもしれない)
しーちゃんは「最近抜け毛がやばくておでこが
どんどん広なってんねん!」と
なかなかに狭いでこを上げて見せてくる。
「もうちょっと広くなってもいいと思うで(笑)」
「え、そうなん?(笑)」
三人の奥二重ーズが笑い合う日曜の静かな午後は、
いつかマンションアイの思い出になる。
未来を想像してちょっと切なくなった。
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