ワイワイ生きてたい
河村:カメラマンって映画で言えば監督みたいで
強い意志をもって現場を引っ張って
いかないとダメでしょ?
そういうプレッシャーがあると思うけど、
松原:私が撮らないとさ進まないから。
昨日も朝の7時半から撮影で、
めちゃくちゃロックに撮ってくれっていうお題で。
眠たそうなモデルを動かさないといけないわけ。
朝の7時半、何もないスタジオ。
河村:きついね(笑)。
松原:だからモデルの彼女と私と二人で、
誰が手伝ってくれるわけでもないから、
もうやるしかないっていう気持ち。
河村:結構さ、最初っから?
松原:うーん。撮るまではグダグダで、
撮る直前にスイッチが入る。
この間も山に撮影しに行った時なんか、
変なおばちゃんに言いがかりをつけられて
何故かすっごい怒られて。
お昼から雨が降るから、それまでに絶対終わりたかったのに
お昼まで怒られてん。
河村:えー!(笑)
松原:朝から。(笑)
で雨が降ってきた中で40代の大人たちが
六人とか七人とかが、一生懸命モデルを温めながら
撮影して。誰一人しんどいとか言わずに、
夜までに10カット終えないといけなくて、
なんかもうトランス状態っていうか。
河村:ああ
松原:もうあんまり無駄なこと考えずに。
だから監督とかじゃなくて、
みんな同じ方向に向かってるんだと思う。
私は撮るしスタイリストさんは着替えさすし、
ヘアメイクさんは髪の毛やってメイクしてって、
他にもみんながそれぞれの仕事をしてて。
だからやるしかない状態なわけで。
河村:終わらなかったら怖いしね。
松原:そうそう。なんか何百万っていうお金が動いててさ、
それが誰のせいでなく、肩に乗っかってる。
だからやるしかない。
でもそれが楽しいのかもしれない。
河村:あ、それが楽しいんだ。
まっちゃんのスイッチ入ったときの感じは
後ろで見ててもすごくて。
松原:昨日も龍がいたって言われた。
モデルに「朝からあなたのエネルギーに負けたわ」って。
河村:なんかどんどんエネルギー増してる!(笑)
松原:それはわからない。
自分ではわかってなくてただ必死なだけで。
河村:うんうん。この前のヌードの撮影もすごかった(笑)。
モデルと同じくらい踊り狂ってたよね。
まっちゃんが捉えた光と肌が美しくて素晴らしかった。
松原:もう必死やもん(笑)。40代なのに。
もう少しクールになりたいけど。
河村:でも40代にそれだけできるってすごくいいと思う。
Yちゃん産まれて、やっと自分の中での女らしさの定義が
自由になってかつ体も元気でって最高じゃない?
また50代だと体も脳も違うだろうし。
松原:ねー、どうなるんだろう。
でも外国の女性カメラマンだと、サラ・ムーンとか
アニーリボリッツとか、後誰だっけ。
とにかく50代でも60代でも仕事があって
ファッションが撮れるって素敵。
河村:そっちのほうになりたい?
松原:日本って歳をとるとそれ相応の場所からしか
仕事が来なくなっちゃう気がして。まだわからないけど。
私は60代になってもワイワイ生きてたい(笑)。
河村:ワイワイってところがまっちゃんなんだよね。
他人に干渉しないけど一人で完結しないというか
閉じてなくっていつも沢山の仲間に囲まれてる。
きっとおばあちゃんになってもワイワイしてそう!
私もFLOWERの撮影で濃い時間を一緒に過ごす中で
たくさん刺激を受けて、
もっともっと頑張ろう、楽しもうって思いました。
今日は本当にありがとう。
インタビューを終えて
関西人全員とは言いませんが、
照れを隠すためなのか真面目な話であればあるほど
ボケとゆるめのツッコミを多用しながら
どうでもいい話や自虐をつい入れてしまう。
彼女は京都、私は大阪で生まれ育ちました。
一度、音源そのままを文字に起こしたのを読んですぐ
これじゃダメだってことに。
編集という名の翻訳を余儀なくされました。
その方がちゃんと真意が伝わると思ったからです。
残念なことに私の力では彼女の持つ面白い空気感を
言葉にはできていません。
それでも何度も編集したのを確認してもらって
意見を聞きなんとか完成させました。
彼女の大きな人間愛と新しいことへの柔軟性、
すさまじい行動力とセンスとユーモア。
女らしさって本当はこういうことですよ!って
声を大にして言いたい気分になりました。
MAG BY LOUISE 河村
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